酒類販売業免許は酒類を小売販売をするときに必要な免許ですから、結婚式場や葬儀場で酒類を小売販売するケースはあまりないようにも考えられます。

しかし、こうした結婚式場や葬儀場であっても酒類販売業免許が必要になるケースがあります。気づかずにサービスを行なっていて、酒類の無免許販売になっていたことがないように注意が必要です。

  1. 参加者や参列者に対して手提げに返礼品等をお持ち帰りいただく場合に、返礼品の中に酒類が入っている場合
  2. 結婚式場内の各テーブルに、席札用のワインを栓を抜かずに置いて、参加者が開栓せずに持ち帰ることができる場合

返礼品に酒類が入っている場合

参加者(参列者)にお持ち帰りいただく場合に、お返しとして手提げをお持ち帰りいただく場合がありますが、酒類販売業免許を取らずに手提げの中に酒類を入れると、酒類の無免許販売になる可能性があります。

確かに、各参加者からは酒類の販売代金を徴収しているわけではないので、酒類を小売販売しているわけではないようにも思えます。

しかし、そもそもこうした酒類の代金は主催者側が支払いをしているはずであり、この点で主催者側に対して酒類を小売販売していると考えることができます。

宗教行為の一環として提供される酒類について、酒類の小売販売には該当しないという考え方もあるかもしれませんが、税務署の考え方としては、こうしたケースでは酒類販売業免許が必要とされています。

席札代わりのワイン

結婚式場の各テーブルに席札代わりとしてワインを置く場合があり、こうしたワインを製造して販売する卸業者もあります。

しかし、ここで注意をしたいのは、顧客に酒類を提供する場合に、栓を抜かずに提供してしまうと、「顧客がその場で飲まないことを予想して酒類を提供した」場合に該当しますから、これは酒類の小売販売行為に該当してしまうということです。

つまり、栓を抜かずに酒類を提供する行為自体が酒類を小売する行為に該当するため、仮に持ち帰り用の手提げ袋等を用意しない場合であっても、酒類小売業免許が必要な行為に該当してしまうということになります。

問題になりそうな行為はすぐに停止しましょう

ばれなければ大丈夫だろうという考えは、ことさら税務署に対してはやめておくことをお勧めします。

というのは、取引先を調査して、おしぼりや酒類の納品業者の販売数量・金額から税務調査の対象となる会社の売り上げを推計することで、売上計上漏れを突き止めるという税務調査が行なわれることがあるようで、その調査の中で酒類の無免許販売が発覚することも考えられるからです。