近年、仕入れた高級洋酒を小瓶に小分けして、インターネット等で販売することが多くなってきました。
このように、酒類販売業者等が仕入れた酒類を小分け等して販売する行為を「詰め替え」いいます。

こうした酒類の小分け販売をするには、そもそも酒類販売業免許を取得しなければなりません。
例えば、小分けした酒類をインターネットでサブスクリプション販売するときは通信販売酒類小売業免許を取得する必要があります。
また、小分けした酒類を店舗で販売するときは一般酒類小売業免許が必要です。
さらに、小分けした酒類をワインショップや酒類問屋に販売するときは洋酒卸売業免許等の卸売業免許が必要です。

酒類販売業者等がこうした酒類の「詰め替え」を行う場合には、詰め替えを行う場所の所在地の所轄税務署長に詰め替えを行う2日前までに「酒類の詰替え届出書」を提出する必要があります。(詰め替えを行う場所は酒類販売業免許を取得した酒類販売場でなければなりません。)
詰め替え容器には、販売者(加工者)の住所・氏名又は名称、詰め替え場所の所在地、容器の容量、詰替え酒類の種類等を表示したうえ、『表示方法届出』を管轄税務署に提出する必要があります。
表示方法届出と酒類の詰め替え届出書は同時に提出することはできますが、不適切な表示をしてしまうと税務署からラベルの作り替えを指示されることがあるかもしれません。
ですから、あらかじめ表示方法の届出を税務署に提出して、問題ないことを確認してからラベルの印刷をするとスムーズに酒類の詰め替えをすることができます。

さらに、酒類の詰め替えは食品衛生法上の規制対象となることがあります。
酒類の詰め替え自体は食品衛生法上の酒類製造許可には該当しませんが、酒類製造と類似の行為として酒類製造許可を受けるよう、保健所から指導されることが多いようです。
ここで、酒類販売業免許の申請の際に、販売場をオフィスビルの一室としてしまうと、この保健所の許可を受けることができない可能性があります。
なぜならば、保健所の酒類製造許可を受けるには施設要件をクリアしなければならないからです。
床がカーペットのままでは酒類製造許可は取れませんし、2層のシンクが必要になったりするので、オフィスビルで酒類製造許可を受けるにはそれなりに改装が必要になるはずです。

ですから、酒類の詰め替えを行う場合は飲食店などの居ぬき物件で酒類販売業免許を取得すると、保険所の手続きがスムーズにすすむはずです。