酒類小売業者の義務

従来、酒類の小売業者について、販売場に酒類販売管理者を配置する義務が課されていましたが、酒販管理者の酒販管理者研修の受講は努力義務に過ぎず、税務署からのお願いとして、任意で研修を受講するように求められるに過ぎませんでした。

ところが、この努力義務は平成28年6月の酒税法改正により、酒類販売管理研修の受講が義務化されることとなりました。

酒類販売管理者とは

「酒類の販売業務」とは、酒類の小売販売場において行う酒類の販売業務(レジ打ち等)又は酒類の陳列、管理及び商品説明等の業務をいいます。

このような酒類販売場における酒類の販売業務について、責任をもって管理できる立場にある責任者(店長等)を、酒類販売管理者といいます。

酒類販売管理者は、酒類小売業者に引き続き6か月以上の期間継続して雇用されることが予定されている者の中から選任する必要があります。引き 続き6か月以上継続して雇用されることが予定されている者であれば、雇用形態(正社員であるか否か)は問わないとされているため、パート、アルバイト、契約社員(派遣社員は不可)等であっても酒類販売 管理者に選任されうるとされています。

酒類小売業者の義務の内容

酒類小売業者は、酒類販売管理者の配置について下記の義務が課されています。

酒類小売業者の義務

  • 酒類販売管理研修を受講した者の中から酒類販売管理者を選任しなければならない。
  • 酒類販売管理者に、3年を超えない期間ごとに、酒類販売管理研修を受けさせなければならない。
  • 販売場ごとに、販売場の見やすい場所に酒類販売管理者の氏名、研修受講事 績等を記載した標識を掲示しなければならない。

酒類販売管理者の表示について

カタログ等(インターネット通販を含む。)を利用した通信販売を行う場合であっても、カタログ等の見やすい場所に酒類販売管理者の氏名や研修の受講事績等の表示をする必要があります。

罰則について

酒類販売管理者研修会の受講義務を遵守しない酒類小売業者に対しては、税務署は勧告のうえ、従わない酒類小売業者に対する命令をすることができるようになります。そして、命令に違反した場合は罰則(50 万円以下の罰金)を課されることがあります。

研修の義務化について

過去3年以内に研修を未受講の者を酒類販売管理者として届け出た場合は、 選任の要件を満たしておらず、「選任義務違反」となり、50 万円以下の罰金(組 合法第 98 条二の二《罰則》)となります。

また、酒販管理者の選任の届出を怠った場合には、10 万円以下の過料(組合法第 101 条十二) となります。

定期研修の義務化について

3年ごとに研修を受講させていない場合は、「勧告」・「命令」を経て、「命令 違反」となり、50 万円以下の罰金(組合法第 98 条二の三《罰則》)となります。

標識掲示の義務化について

罰則規定はありません。

ただし、標識の掲示は組合法上の義務であり、これを遵守していない場合には、組合法第 86 条の9第5項(酒類の販売業務に関する法令の規定に違反した 場合)の規定により、酒類販売管理者の解任勧告の対象となりえるとされています。