目的とは何か?
法律では、法人は目的の範囲内で権利を有し、義務を負うとされています。
つまり、会社が何か事業を始めるには、定款の目的に当該事業が記載されていなければならないというのが一応の建前とされています。
こうした目的が記載されていないからといって事業を始めたとしても、通常法律的な罰を受けるわけではありません。
しかも、こうした目的の範囲は広く解釈するのが一般的であり、目的に事業の文言が厳密に記載されていないからといって違法とするのは、かなり異質な解釈といえるかもしれません。
しかしながら、役所の営業許可を受ける場合には、定款の目的に適切な記載がなければ許可申請が受理されないことがあります。
酒類販売業免許を取得する場合にも、定款と登記の目的にこうした記載があることが求めらることがあります。
目的変更のやり方
株式会社の定款変更をするには、まず臨時株主総会を開いて、株主総会決議を受ける必要があります。
そして、株主総会議事録と登記申請書を法務局に持参して目的変更登記をする流れになります。
目的変更登記の手数料は3万円で、これは法務局で収入印紙を購入して支払うことになります。
規模が小さい会社であれば、こうした臨時株主総会を開催することは比較的容易ですが、大きな会社であったり外国会社である場合には株主総会を開くこと自体が困難なケースもあるようです。
法人で免許を取得する際は目的変更登記が必要
酒類販売業免許を法人で取得する場合、定款の目的欄に酒類販売業を営む旨の記載がない場合には、株主総会を開催して定款変更手続きをとるとともに、目的変更登記も済ませなければなりません。
酒類販売業を営む旨の記載とは、具体的には
- 輸入ワインの小売業
- 果実酒の輸入販売業及び卸売業
などのような記載でももちろん構いませんが、後日免許を追加する場合に再度目的変更登記をするのは手間がかかりますので、
- 酒類の販売業
- 酒類の小売業及び卸売業
などのような包括的な記載にしておくのが便利です。
なお、変更登記には1週間から2週間程度かかる場合がありますから、申請前に余裕をもって手続きを済ませておく必要があります。
こうした変更登記はめったにする機会がないと思いますので、この機会に以下の変更登記も必要がないか、念のため確認しておきましょう。
- 事業資金を借り入れるついでに増資をする
- 代表取締役の住所が変更しているのに放置していたので変更登記をかける
- 役員の住人登記を忘れていたので変更登記をする