フロアを他社と共有している場所で酒販免許を取得するケース
酒類販売業免許は販売場ごとに取得する必要がありますので、免許申請者は販売場全体を独立して使用できる形で確保する必要があります。
もっとも、酒類販売業免許の取得を検討されている事業者様の中には、販売場として使用することを予定する物件を、グループ会社同士でフロアを共有している場合や、他社の事務所の一部を間借りしている場合もあります。
こうしたケースであっても、絶対に酒販免許はおりないわけではありません。しかし、幾つかの条件をクリアする必要があります。
賃貸借契約書について
まず、事務所が賃貸物件の場合には必ず賃貸借契約書を提出する決まりです。他社名義で賃借している場合や、自社名義で賃借している場合であっても、フロアを共同使用している他社のスペースが契約書上明らかでない場合には、自社が販売上を独占的に使用できることを証明できる書類を別途用意する必要があるかもしれません。
税務署に申請する前に、きちんと担当官に事情を説明して、提出するべき書類について相談しておくことをお勧め致します。
また、当事務所においても、フロアを他社と共有しているケースで酒販免許を取得した取扱い実績が多数ございます。
会社名の表示について
親会社が借りているオフィスに子会社として間借りするケースのように、ビルの入り口やオフィスの入り口に会社名の表示がされていないケースもあると思います。
こうした場合は、会社名をオフィス入り口等に明示するよう、担当官から指示がなされることもあるかもしれません。こうした表示をすることが可能か、ビルのオーナーに事前に確認しておくと後々トラブルになりません。
オフィスの間取りについて
オフィスを共有している場合は、原則的に販売場のスペースは他社と壁等で明確に区切られていることが求められます。
実際の税務署の審査においては、そのフロアのどの部分を申請者が使用しているかを図面に明示するとともに、場合によってはオフィス内に何らかのパーティションの設置を求められることもあるかもしれません。
具体的にどのような措置が必要となるかは、担当官の相談しながら話を進めましょう。
避けるべきこと
書類上は他社とフロアを共有していることにして、実際のオペレーションは他所の事務所で行うということを考えている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、前述のように酒販免許は販売上ごとに付与されるものですから、免許を受けた販売上以外の場所で酒販免許の契約行為や金銭の授受を行うことは、無免許による酒類の販売行為となってしまいます。
こうした不正行為を行うと、思わぬところで虚偽の申請が発覚して、後日思わぬトラブルを招くこともあります。
また、実態のない販売場であることを隠して申請をして、後日担当官が事務所の実地調査をした際に発覚することもあります。こうした場合は審査期間が延びてしまったり、免許がおりないこともありますので、不正な免許申請は絶対にやめましょう。