酒類販売業免許は個人でも取れる
酒類販売業免許は個人でも取れますから、新しく事業を始めるに当たり、必ずしも法人を立ち上げる必要はありません。
また、酒類販売業免許制度上も法人なりの制度も用意されていますから、まずは個人として事業を始めて事業が軌道に乗った後で法人化をすることも十分考えられます。
とはいえ、個人事業のデメリット・法人化のメリットもありますので、個人事業・法人化のメリットデメリットをまとめます。
個人事業のメリット
個人事業のメリットは手軽に事業を始められることです。事業の開始に必要な役所の手続きも、原則的に税務署等での開業届の提出のみで、会社設立のような登記は必要ありません。ただし、酒類販売業を始めるには、別途酒類販売業免許申請を行う必要があります。
また、毎年の確定申告の手続きも、法人に比べて簡易な処理が可能ですから、この点も個人事業の見逃せないメリットといえます。
法人事業のメリット
法人事業にすると、経営者や家族に給与を支払うことで一定の節税効果があるほか、様々なメリットがあります。法人化のメリットの代表的なものは以下の通りです。
自宅の家賃を経費に
居住用自宅を会社名義で借りることによって、家賃の一部を経費にすることで節税対策ができます。
欠損金の繰越控除
個人事業の場合、欠損金の繰越控除は3年間までです。一方、法人の場合、赤字は9年間繰り越すことができます。ただし、欠損金の状況によって、酒類販売業免許などの役所の営業許可を受けられなくなることがあります。
対外的な信用が上がる
会社相手の取引ですと、やはり法人化したほうが取引しやすいという話をよく耳にします。例えば事業に使用する車両設備のリースを受けるのに、法人化しなければ取引をしないといわれるケースもあります。
法人化のデメリット
上記のとおり、新規に事業を始めるには法人化をしたほうがよさそうにも思えますが、法人化をすると個人のときは必要がなかったさまざまな手続きが必要になるなどのデメリットがあります。
まず、事業が赤字でも、法人住民税が7万円程かかるほか、税務上の手続きも複雑でどうしても税理士の助けが必要になる場面が出てきますから、この点で毎年のコストが個人事業に比べて上がってしまいます。また、法人化をすると社会保険の適用事業所となることも見逃せません。
さらに、万が一事業をたたまなければならない場合は、法人の清算手続はかなりの手間と時間がかかります。
まとめ
このように、「事業を始めるにはなんとなく法人のほうがよさそうだから」、「会社の社長の名刺のほうが恰好がよさそうだから」といった安易な理由で会社を立ち上げてしまうと、痛い目に合うこともありそうです。事業を始める場合には、きちんと事業計画を作り、数字を見ながら冷静な判断することが大切です。